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新潟/佐渡紀行(vol.5 8/20・いよいよ佐渡へ。)

さていよいよ新潟旅行記、二日目である。

この日は、朝も早よから佐渡島へと渡った。
朝一のカーフェリーの出航時間は午前6時。
いつもの私の出勤時間(6時50分)よりも随分早い。
ちょっぴり、いやかなり二日酔いの働かぬ頭で5時前に起きだし、ぼんやりと身支度をしてチェックアウトを済ませ、タクシーを拾って一路佐渡汽船乗り場へと向かった。

カーフェリーには2等、1等ジュータン席、1等イス席、特等船室、そしてスイートルームの別がある。
ここを見れば全容が分かる)
特等やスイートルームはなかなか豪気だが、2時間半ほどの船旅にはいかにも勿体ない。
やんごとなきお方の御行幸などに使われるのであろうか。

如何なる意味においてもやんごとなくない私は、お師匠様(後述する)の教え通り1等イス席を選んだ。
なんとなく、片仮名の「イス」の字面から銀河鉄道999のような直立の木製のイスを想像していたのだが、案に反してリクライニングもオットマンも完備されたなかなか上等なイスであった。
おまけにこの日は海も穏やかで、思わず船上にあることを忘れそうであった。

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一等イスの全容(分かり難くてすまない)

出航後は二日酔いにもかかわらず、うれしの血が騒ぎ船内をあっちゃこっちゃ見て回る。

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食堂。
氷にビール、なんでもあるよ。

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二等客室。
文字通りの雑魚寝状態。
これはこれで楽しかったかもしんない。

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買い食いコーナー。
何故、人はアルミホイルでくるまれたおにぎりを見ると激しく欲望を覚えるのであろう
(私だけですかすみません)
食べたいのはやまやまであったが、お師匠様(だから後述しますってば)が朝ご飯におにぎりを用意して下さっているというのでぐっと我慢した。

因みにこの写真は、流石にかぶりつきで撮るのは恥ずかしかったので望遠で撮影した。
(どっちが恥ずかしいねんという話だが)

船のデッキでは、小さい子供が海に向かってスナック菓子を巻いていた。
それを目がけて必死でついてくるカモメたち。

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ヒッチコックの「鳥」とまではいかなかったが、結構な沖合いまで結構な数のカモメが追いすがってきていた。
世知辛い世の中、生きて行くって大変よね。うん。

まだ佐渡につかぬまま
次回につ づ く 


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新潟/佐渡紀行(vol.4 8/19・新潟グルメ!)

さてさて。

観光やら食やら、色々な角度から阿賀野川ラインを堪能したあとは一路新潟市へと戻った。
新潟駅前にてレンタカーを返却し、今宵の宿のコンフォートホテルにチェックインする。

今回の宿はお師匠様(後述します)にお勧め頂いた場所だ。
場所は便利で新しくて朝食ついてて(なかなか充実してた)、何よりも肝心なことに大変お安かった。
勿論その安さ故狭くはあったが、十分お値段以上ではあったと思う。

荷を解いた後はお待ちかねのディナーだ。
この日伺ったのは「新潟土筆」。
新潟在住時に何度か通った割烹である。

ネット情報によると、このお店も10数年経つうちに色々あったらしかった。
数年前、上にあった中華料理屋さんの失火により元のお店は全焼したという。
(皆様ご無事で本当によかったと思う)
その後場所を替えて再オープン。
現在は、大将とイタリアンを修業していた息子さん、そしてお母さんの3人でお店を経営されている、らしい。

新しいお店は、昔の純和風の佇まいとは全く違い実にモダンな雰囲気であった。
奥にはワインセラーも見える。
当初は、今宵は新潟のとれとれぴっちぴちの魚一点狙いだぜ!と勢い込んでいたが、店の雰囲気や他のお客さんのテーブルを見て(皆イタリアンを食しておられた)、一品ぐらいイタリアンを食べるのもいいかもしんないと思いだしてきた。
故に、日本酒に移行する前のアペリティフ、とりビー(とりあえずビール。説明不要ですね)の間にいっちょ頂いてみた。

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トリッパの煮込みである。
ほほう、これはなかなかではないか。
普通トリッパの煮込みにはお豆類がつきものなのであるが、これはまじりっけなしの徹頭徹尾トリッパのみの一皿であった。実に肉肉しくてよい。

味付けも大変私好みで、このままプリモもセコンドも頂きたい!と思ったのだが、ここは新潟、魚と日本酒の天国である。
なので泣く泣く次からは和食系をチョイスしたのであった。

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という訳で、何はともあれ刺身盛り。
ほんっとーに、何を食べても旨い。
特に印象に残ったのは新潟名物南蛮海老とつぶ貝の刺身であった。
前者はとろんと甘く、後者はこりこりとした小気味よい歯応えでまことに美味である。

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新潟来たらまずはこれでしょ・魚以外シリーズ・その1、茶豆。
最近は扱っているお店も増えたけど、やっぱり地のものは旨い。気がする。
豆の味がぎゅぎゅっと濃縮されている感がある。

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新潟来たらまずはこれでしょ・魚以外シリーズ・その2はこの「栃尾の油揚げ」である。
油揚げっつってもそんじょそこらの油揚げとは違いますのよ、奥様。
ふわふわでいて厚みがたっぷりあり食べでがある。
そして何より、原料の豆腐が旨い。
これは勿論、ただ炙っただけでも十分に美味なのだが、ここのお店では所謂「葱味噌仕立て」にしてあった。
葱は得手ではない私だがこれは別物。
日本酒を間の手に箸がとまらぬ。

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その間の手の日本酒はこれ。
新潟純米吟醸酒飲み比べセットである。
銘柄もちゃんと書いて下さっているのが嬉しい。
それで、どれが美味しかったかというと…
…どれもみなおいしかったです。はい。
(ブロガー失格)


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海老しんじょの揚げ物。
あんがとろっとかかった椀物ではなく、揚げてあるのが面白い。
中身の海老がぷりっぷりでこれまた逸品。

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海そうめん。
聞けば、海藻の一種であるらしい。
想像したよりもしっかりした歯応えに味がした。
普通のそうめんより断然好みだ。

以上、新潟土筆でのお食事であった。
あ、勿論日本酒も、上の飲み比べセット以外にも浴びるほど(修辞的表現)頂きましたよ。
ここのオリジナルの「越の万代橋」がその、ちょいと、乙なのである。
(池波正太郎風に)
他の地酒もどれもこれも旨うござんした。

で。
感想なのだが…
どれもこれも美味しく頂いたのだが、正直どっちつかずのお店になってしまっているなあと思った。
息子さんのイタリアンは至極まっとうなイタリアンで、日本酒に合うとかそういう方向を目指しているわけではなさそうであった。
(日本酒を造る米(山田錦系?)で作ったリゾット、とかいう面白そうなメニューもあったが)
つまりどういうことかというと、このお店に来た人は恐らく、和食かイタリアン、どちらかしか食さないことになりそうなのである。
それはそれで勿論結構なのだが、失礼ながらならば一緒におやりにならなくてもいいのに、と思ってしまった次第であった。

あと、和食(大将さんご担当)を頼んだ時のサーブの遅さも気になった。
確かにお年だしゆっくりにはなるのだろうが、実質客が私達一組(上記の通り他のお客は皆イタリアンを食しておられた)なのを考えると少し常軌を逸した遅さであった。
例えば海そうめんであれば、洗ってお出汁入れればすぐ供することができると思うのだが…

などと色々書いてしまったが、何度もいうようにお味は非常に好みであったので、次回新潟を訪れる際にも寄ってしまうことになるだろうと思う。

とまれ、そんなこんなで一日目は終了した。
ウコンの力(勿論superさ)と酒豪伝説をダブル飲みし、翌朝の早起きに備えて早めに就寝した。
(とかいいつつナイトキャップに更にビールを飲み、結局その缶を握りしめたまま寝落ちしていたのであったが)

明日はいよいよ佐渡に渡る。

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浴衣de夏祭り(追記あり)

先日、とってもイケてる(死語)イベントが南御堂会館で開催された。
その名も「浴衣de夏祭り」
浴衣(或いは、夏らしい格好)で府内の有名イタリアンやビストロの供するお食事を食べつつワイン飲みつつ、おまけにジャズまで楽しんじゃおうぜっていうとってもイケてる(大事な事だから二度言いました)イベントである。
浴衣大好き、全くのど素人だけどジャズもまあ好き、食べるに飲むは当然大好きな私は、このイベントの話を聞くや否や参加を即決した。
どれくらい早く即決したかというと、入場券の整理番号が1番な位、であった。
どうだすごいだろう。
#因みに280名程が参加したイベントだそうです。

当日、これまたほぼ一番乗りで乗り込んだところ、期待に違わず素敵な食べ物の数々が待ち受けていた。

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羽山料理店&土佐堀オリーブさんから、自家製ソーセージとシュークルート。
肉の旨味がぎゅっと詰まっており、肉食女子大変満足す。
シュークルートもクミンが効いており美味しいね。


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羽山料理店名物、牛ほほ肉の煮込み(カルボナード)。
以前お店で食べたときは、まあいけるねえ程度だったのだが(すみませんすみません)、今回のこれはなにやらとっても美味しく感じられた。
やはり場の祝祭性の所為(洒落じゃないよ)かな。

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海老のタルタルとオマールのジュレ。
上に乗ってるのは柿の葉っぱだそうな。
海の幸がぎゅっとつまった一品。

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フォアグラの!フランとトウモロコシの冷製スープ。
甘いトウモロコシ(味来コーン?)のスープの中に、何やら旨い沈殿物があると思いきやなんとフォアグラでありんした。贅沢。
コーンの甘みもよいものですが、やっぱ脂の甘みは最高ですわ。
ビバ!脂肪肝。
(脂肪肝言うな)

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トリッパのパスタ。
(このショートパスタ、初見だった。名はなんというんだろ?)
トリッパやらかい。ソースも旨い。もぐもぐ。

→パスタ担当、「チェルキオ」の三好シェフに恐れ多くも直接ご教示頂きました。
「トルキエッティ」というそうです。
ソースが絡んで大変好みのショートパスタでありました。

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ブロッコリー?のパスタ。
これまた素朴に美味しい。

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平打ち麺のパスタ。
うう、だんだん記憶が曖昧になってきた。

→これまた三好シェフにご教示頂きました。
こちらは「トリポリーニ」。
片側のひらひらが印象的なパスタでありんした。

因みに、パスタで一番美味しいと思ったのはきのことパルミジャーノがたっぷりかかった一皿であった。
(なのに写真失念。うう)
また改めてチェルキオさんに美味しいパスタを食べに行きたいものだ。

そうこうしているうちに抽選会が始まった。


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眼鏡の司会のお兄さんはスーパーTVスターことマーブル・トレの竹田氏である。
→「武田」氏でした。某tatan嬢、多謝。
スーパースターの名を間違えるとは恐れ多い…

抽選ではまずはシャンパンが二名様に、そして各店のスペシャリテが三名様に当たる趣向となっていた。
まあこれだけの人数だし、当たるわきゃないわなーとぼんやりグラス片手に眺めていたら、ななななんとばっこーんと当たってしまったのであります。スペシャリテ。


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河内鴨のソテー?(多分)であります。

やー、これが旨いの旨くないの。
シャラン鴨よか旨いんじゃないの、これ。地産地消ばんざい。
ご覧の通りかなりの量あったにもかかわらず、あっという間に瞬殺さしめたことであった。
肉食系女子、満ち足りる。


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その後もおつまみがちょこちょこ出てきたりして、え、なになにこれ、本当に3500円でもいいの?という程太っ腹な構成であった。
(その分一杯500円也のワインはせっせと消費しましたが)

そ、そうだ。
ジャズも素敵でしたよ。はい。
(とかいいつつ、写真撮影を失念しているあたり何をやいわんや)

イベント終わり外に出ると、丁度南御堂さんで盆踊りが繰り広げられていた。
眺めていると先日佐渡おけさをちょっぴり齧った血(どんな血よ)が騒ぎ、いそいそと輪に飛び込んだ。

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いやー、しかし普通の盆踊りもなかなか難しおま。
1周した辺りで敢え無くギブアップしたことであった。
次はもっとやるぜ。

以上、浴衣de夏祭りレポでした。
食い物話に終始しておりますが、まあそれだけ満足だったということで。
来年も是非参加してスペシャリテ、狙ってみたいものでありんす。


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新潟/佐渡紀行(vol.3 8/19・岩魚に将軍杉、古刹など)

さて。

前述の通りおまんじゅうを食いっぱぐれた私、おやつを求めて車を走らせた。
向かったのは三川の山の奥。
時折そのスポットを指し示す案内看板はあるのだが、途中道がえらく細くなったり、木々が鬱蒼と生い茂り昼尚暗い道に差し掛かったりして、本当にこっちで大丈夫なのかとはらはらしながら進んで行くと、あったあった。

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山の中に突然現れた一軒宿。
その名を「裏五頭山荘」という。
ここで岩魚が食べられる筈、というナイスな情報を元にやってきたのだが、入り口でごめんくださーいと声を張り上げても誰も出てこない。
玄関から中を見ると、大座敷には食べ散らかした残骸がそのまま残っている。
もしや宿の人も客も皆、神隠しにでも遭ったのであろうか。(ないです)

しかしこちらも遠い道中はるばるやってきたのだ。諦める訳にはいかない。
何度もごめんくださーい、ごめんくださーいと連呼していると、どこからか宿のおばさんが「はいはいー」と言いつつ転がるようにして走ってきた。

「あらー、ごめんなさいね。散らかしたままで…」

「あの、食べるものってできますか?」

「あー、ごめんなさい。ごはん切らしちゃっててごはんものはできないのよ」

「じゃ、岩魚の焼いたのはできますか?」

「ちょっと時間かかるけど大丈夫ですよ」

という訳で、ノンアルコールビールを頂きつつ(今はこんな山荘にもあるんですねえ)川縁の席でゆるゆると魚の焼けるのを待つことになった。

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ここいらはだいぶ上流になる(と思われる)のだが、それでもやはり水はかなり濁っていた。

待つ事数十分(結構待った)でおまちかねの岩魚が焼き上がった。

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あつあつでほくほくで、肝の部分はほろ苦くって最高に美味しかった。
こういう美味に出くわしたときはノンアルコールではない本物のビール、いやもっと言うならきりっとした辛口の日本酒等が大変あらまほしいのであるが、運転手の宿命故そこんところは諦めるのである。

絶品おやつに満足したあとは再び来た道を戻る。
なんでも、日本一の杉なるものがあるらしい。
その名も将軍杉という。

平等寺の東隣、岩谷集落を見下ろすところにどっしりと根を張り、四方に太い枝を伸ばした将軍杉は、樹齢が推定で1,400年、幹周19.31m、樹高38mを測ります。平成12~13年度に環境省が行った「全国巨樹・巨木林フォローアップ調査」での杉の部において、それまで日本一であった鹿児島県屋久島の縄文杉(16.1m)を抜いて日本一の巨木となったものです。

(阿賀町のHPより)

ほほう、なんとあの縄文杉より大きいとな。
それは見ねばなるまいて。

そこで行ってみたのだが…


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でかすぎてカメラに収めきれませんでした

くそうくそう、もっと広角のレンズを持ってきておくべきだった。
(多分それでも無理)
とまれ、巨木というのはいいものだ。
何かしら対峙する人間の背筋をぴんと伸ばさしめる高潔なオーラを放っている、ような気がする。

背筋が伸びたところで隣接するお寺さんにお参りをする。
その名は平等寺薬師堂。
平安末の建立というからかなりの古刹である。
失礼乍ら、かような山深い地にそこまで由緒正しき寺があるは驚きであった。

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現存する建物も永正14年(1517)建立というからこれまた相当に古い。
畿内の神社仏閣のような派手さは皆無だが、逆にその古びた佇まいが好もしかった。
とりあえず(とは失礼か)、手を合わせ旅の安全を祈念しておいた。

次回はいよいよお待ちかね(私が)、新潟グルメの巻である。
乞うご期待。


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新潟/佐渡紀行(vol.2 8/19・麒麟山温泉)

さてさて。

阿賀野川下りの次に向かったのは麒麟山温泉であった。
ここには、私が新潟在住の折(もう10年以上経つのだなあ)しごく気に入り、何度も足を運んだ温泉旅館がある。
とはいっても日帰り利用のみだったんですけどね。お金無かったし。

その温泉宿の名は古澤屋という。
阿賀野川を臨む絶景の露天風呂で有名な宿だ。

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往時と変わらぬ佇まいになにやらほっとする。

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由緒正しき(多分)純木造・純和風の建物だ。

頼もう!とロビーで名乗りを上げ(嘘ですよ)、入浴料700円とタオル代100円を払いいざ中へ。

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廊下の雰囲気も実に好もしい。

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ああそうそう、こんなの昔ばあちゃん家にあったわー、的タイルの洗面所。

さあいよいよお待ちかねの露天風呂である。


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※お風呂には私以外誰もいませんでした

きゃー。
これこれ。
そう、この景色を見たかったのよ私は。
と、懐かしさと嬉しさで暫し一人、真っ裸で一眼レフを抱えはしゃぎまくる三十ウン歳大年増であった。
さぞかし見苦しい光景であったことであろう。すまない。
(どこへとはなしに謝罪)

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風呂の全景。

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しかしやはり水は黄色く濁り、ところどころ先の大雨の影響と思しき土砂崩れの痕も散見された。
疾く元の清明な流れに戻らんことを祈る。

さっぱりした後は、先ほど阿賀野川下りの船頭・川ノ口さんに教えてもらったおまんじゅう屋さんに向かった。
宿を出てすぐの所に看板を見つけたので、近寄って店内を覗いてみたが、人の気配もおまんじゅうの気配もない。

「…ごめんなさい。今は営業してないんですよ」

振り向くと、店主氏と思しきおじさんが立っていた。

「今日はお休みでしたか?」

「いえ、先だっての大雨で被害を受けて…」

「…そうでしたか。大変でしたね」

「お客さんはどこかに行ってこられたんで?」

「はい、古澤屋さんへ」

「そうですか。ここいらで被害を受けなかったのは古澤屋さんだけですよ。
後の宿はみんな水冠っちゃってねえ」

そう言われてふと目をやると、道路を挟んでおまんじゅう屋さんの正面にある瀟洒な宿がなんとも無惨に泥だらけになっていた。
かような惨状を見聞きすると、あんなに川の際に位置する古澤屋さんが無事だったということが逆に不思議に思えてきた。
人の営みも又、疾く疾く元に戻らんことを。

8月末には再開しますというおじさんに頑張って下さいねと労い、再び出発。
麒麟山酒造でしこたま酒を買い込んだ後は(私はここのお酒が大好きなのだ)、三川へと少し逆戻りした。
おまんじゅうの代わりのおやつを探し求めて向かったのは何処かというと…

次回につ づ く 


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新潟/佐渡紀行(vol.1 8/19・阿賀野川へ)

夏休みに新潟、そして佐渡に行ってきた。
その模様をばつらつら書き綴っていこうとぞ思う。
今回こそは中断しないぞ。多分。

8月19日(金) 大阪:曇り 新潟:晴れ時々曇り

7時40分発、JAL2241便にて一路新潟へ。
飛行機はがらがら、かつ超小型で、いつも満席の沖縄行きフライトに乗り馴れた身には新鮮であった。
飲み物サーブの際はカートすら登場せず、CAさんがメモ片手に御用伺いに来たには驚いた。
預け荷物を受け取る段に至っては、ターンテーブルに赴くと既におねえさんが荷物を並べてにこにこと待っててくださるし。
無理もない。乗客の預け荷物は合計3つしかなかったのだ。
謝る必要は全くないのだが、何やら申し訳なくすみませんすみませんと連呼して荷物を受け取った。

空港で車を借りていざ出発。
向かうは阿賀野川流域の道の駅、阿賀の里だ。
ここからは阿賀野川下りの船が出ているらしい。
尤も、この日の前日には結構雨が降っていたので出航するかどうかは覚束ないなあと思っていた。

磐越自動車道をばびゅーんと行くこと1時間程で目的地に到着する。
阿賀野川は、昔の記憶の美しい緑(「碧」というに相応しい色であった)とは違い、黄色く濁っていた。
やっぱり雨の影響であろうか。
船乗り場で訪ねると、案に反してなんと船は出るという。よかった。

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船が出るまで時間があるので、阿賀の里名物であるというラーメンを食す。
ここ近辺の酒造所産の酒粕が入っているらしい。
なかなか旨かったが、ちと味付けが物足りなかったので白胡椒をぼりぼりとふりかける。
酒粕のまったりとした持ち味は多少失われるが、私的には断然美味しくなった。
啜りながらふと、そういや私、酒粕苦手だったやんということを思い出す。
苦手なものを克服、いや忘れさせる程かくも「名物」の響きは魅力的なのである。
(私がうれしなだけだ、という話もあるが)

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塩味と味噌味あり。
今回は味噌味を頂いた。

そうこうしているうちに出航の時間と相成ったので船着き場へと急ぐ。
出迎えてくれたのは、船頭…じゃないな、船は漕いでないからガイドさん?の川ノ口さんであった。
川ノ口さん、ガイドに相応しくそりゃあもうよくお話下さるのだが、少々訛りがあられて、仰る事の6割程度しかヒアリングすることができなかった。
しかしふんふん、なるほど、ああそうですかーとさも分かったかの如く相槌を打つ私は、紛う事なく話の内容をクリアカットに理解することよりも会話のキャッチボール、それ自体を重んじる根っからの関西人なのである。

とまれ、船は恙無く出航した。

「あー、ここ、ここんとこね、一番危ない箇所なのね。
ほら先だっての天○川の事故があったところと全く同じ作りになってるの」

「ひいいいい」

「ああ、でも、この船は平気だからね。
ほら、お尻の下に救命具もあるし」

にこやかに語る川ノ口さんに力なく微笑み返しつつ、写真を撮る。

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やはり流れは黄色く濁っている。


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終止微動だにしなかった彼(彼女?)
漁師稼業も大変だ。


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かつての船着き場の痕。
先の大雨で壊れてしまったのだという。
川下り船も一隻乗り上げてしまったそうな。
只今鋭意復興中であるらしい。

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そのうち天気もよくなってきた。
だが水はやはり濁ったまま。

40分ほどでクルーズは終了。
歌が上手で朗らかで、おまけに阪神ファンであるという(偉い!)川ノ口さんとお別れしたあとは、再び道の駅に戻り「ヤスダヨーグルト」で有名な安田乳業のソフトクリームを頂いた。
流石は安田乳業、ミルクの味が濃い大変旨いソフトであった。
(写真失念)

しかしここで私、まさかの大失態をしでかす。
ラーメンの食券を買った際、先に一緒に買っておいたソフトの食券を無くしてしまったのだ。
幾ら探しても見つからないので、結果泣く泣くもう一枚買い直す羽目になった。
つまり倍の値段(1個350円だから700円)でソフトを食べた事になる。ああげに口惜しや。
無くした食券は、その後ホテルで鞄をあらためた際にひょっこり出てきて、私は静かに密やかに、しかし激しく臍を噛んだのであった。
いつの日かこの食券を握りしめ、阿賀の里へヤスダソフトリベンジに向かうのだそうなのだ。
もう既にどっかやっちゃったけど。

さて。
恨みのソフトを食した後、次に向かったのは…

次回につ づ く

#今回は端的に話を纏めようと思ったんだけど、やっぱひっぱってしまいますねすみません。


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笠仙・浴衣

浴衣を新調した。

モノは笠仙さんの奥州小紋、萩柄。
お仕立て期間1ヶ月程で我が家にやってきた。
(なんでミシン縫いなのにそんなにかかるんだか、とは母の弁であった)
思えば去年、帯を買いに行ったにもかかわらず笠仙さんの浴衣に一目惚れし、当初の予定はどこへやら、是非とも手に入れたい!と勢い込んだのだが、お仕立てが1ヵ月半(あれ、なんか長いぞ)と言われ、その時は既に8月初頭だったので泣く泣く諦めたのであった。
だって、中秋の名月過ぎに浴衣ができあがってきても、ねえ。

なもので、今年は5月に入って早々にまだオープンしたての浴衣コーナーへと突撃した。
我等が阪急の呉服売り場には笠仙さんの反物が結構充実している。
本当は葡萄柄が欲しかったのだが見当たらなかったので、比較的柄が小ぶりな萩のものをセレクトした。
着る方も小柄なので丁度よかろう。

そして6月過ぎ、待望の笠仙浴衣が目出度く仕立て上がってきた。
仕立て上がったのはよいのだが、肝心の浴衣お出かけの機会がとんとない。
花火にでも行けばよいのだろうが、あの殺人的な雑踏の中で折角の浴衣がぐしゃぐしゃになったり汚れたりするのは厭である。
ここは一つ、川床エベントでも仕切るかそうするか。

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着てみましたよの図。
(ツイッターにアップした携帯画像の流用なので不鮮明です。手抜き手抜き)
自分で着付けしたので色々アレな箇所が散見されるが、それはまあスルーして頂きたい。
これからもちょくちょく練習せねば。

(後記)
先日でびうさせました。
自分で言うのもなんだが、概ね好評で嬉しい限りであった。(うふ)
なのだが先日の記事のとおり、その後私は足指骨折という憂き目に遭い、以後は袖を通せずにいる。
(だって下駄が履けないんですもの)
今月末には浴衣エベントを予定しているので、それまでには必死のパッチで治す所存である。

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