骨折顛末記
右足人差指を骨折した。
骨折した理由は、余りにもアホ臭いのでここには書かない。
しかしtwitterの方にリアルタイムでうっかり書いてしまっているので、興味ある方は(いねえわな、そんな人)其方をご覧下さい。
さて、かようにほにゃららな蛮行(当に蛮行と呼ぶに相応しい行為であった)の後、我がお御足はぱんぱんに腫れ紫色と相成った。
当初はただの打撲だと思っていたのだが、腫れと痛みが尋常ではないので半休をとって整形外科に行ってみた。
レントゲンを撮ってもらい、待つ事数十分。
「あー、こりゃ折れてるねえ」
「…折れてますか」
「折れてるも何も、指の先の小さな骨に二箇所亀裂が入ってるよ。
まあ、ばらばらやね」
「ばらばら…」
「一箇所やったらね、テーピングでいこうと思ってたんだけどこれじゃダメやね。親指と一緒に引っ付けて添え木でいくわ」
という訳で、幸いギブスとまでは行かなかったものの、以後の私は
「ちょっと片足が大きい人」
と成り果てたのであった。
「あとね、骨折の上、怪我あるでしょ。
これがかなり危険だよ。黴菌入ったら手術になっちゃう」
「しゅじゅつ…」
「下手したら、指切断なんてことにもなるかもよ」
「ひいいいい」
「だから抗生物質も出しとくからね。ちゃんと飲んでね」
「はい飲みます。飲みますったら」
さて。
骨折は、面倒である。
(以後当たり前の話の羅列ですが、本人的には初めての経験故目新しく思ってますのでつらつら書かせて頂きます)
まず歩きづらい。
(前置きしたとはいえ、いくらなんでも当たり前過ぎやしねえか)
普段とは全く違った歩き方をするものだから、変な場所の筋肉が痛い。
今顕著に痛いのは右、即ち患部の足の太もも外側と左足の膝である。
特に左足はいつもより体重がかかるものだから不自然に痛む。
早く慣れねば、と思いつつも期間限定のことでもあるし、これに慣れるのも如何なものかとも思わなくもない。
歪な形に筋肉がついてしまったりしたら厭だなあ。
変わったところでは、腕の付け根が痛い。
私は普段歩く際に腕をほとんど振らないのだが、こういう事態となり色々試行錯誤した結果、ひょっとして腕を振って歩いた方が歩き易いんじゃねえのということに気づき(何をやいわんや)、以後惜しげもなくぶんぶん振って歩いている。
そうなると、腕の付け根、及び二の腕が痛むようになってきた。
しめしめ。
ひょっとしたら、これをきっかけに何してもどうしても達成できなかった二の腕ダイエットできるんじゃないの?
等とアホなことを夢想する今日この頃である。
だって、それ位のおまけがつかないとやりきれませんぜ。全く。
次に、お風呂に入りづらい。
ビニール二枚重ね(普通のビニール袋とジップロック)で患部あんよをくるみ、更に湯船のへりに足を上げ、粛々とシャワーを浴びている。
冷静に見ると、いや見なくてもこの姿、滑稽なことおびただしい。
(池波正太郎風に)
バランスを崩してひっくり返ったら、ますます滑稽なことおびただしい。であろう。
なのでそれだけはせぬよう、間抜けな姿ながら細心の注意を払いつつ風呂っている今日この頃である。
早く湯船にゆっくりつかれる普通の生活に戻りたい。ああ戻りたい。
あと、履ける靴が一足しかない。
なんせ片足が少しでかく(正確に言うと、長く)なっているので甲を横に留める、所謂「便所サンダル」型のものしか履けないのである。
#「所謂」云々というのは勿論私の独断と偏見です。
かようなブツをオサレなアテクシが持っている訳もなく、困ったなあこりゃ、スーパーにでも行って骨折用の靴ってかべた履き買いに行くかと思っていたところ、一時期カジュアル系の装いに凝っていた頃買って結局殆ど履かなかったビルシュトックのサンダルをベランダ履きにしていたことを思い出し、急遽外履きへと昇格させることにした。
それでもやはり、包帯と添え木をぐるぐる巻きにされているあんよには幅が狭すぎたので、バンドに千枚通しで穴を開けるとあらぴったり。
絶妙な骨折仕様の靴が出来上がった。
とはいえ、ビルケンは素足で履くようにできている故底に微妙な隆起があり、それが真っ直ぐの添え木に若干フィットせず少し反ってしまうのだが、何せこのあんよが収まる靴があるというだけでも有難いのであって、「若干」やら「少し」などといった違和感をどうにかせえなどという贅沢を言っている場合ではない。
いやしかし、夏に骨折しておいて本当によかった。
冬であれば、本当に何履いていいやら分からぬではないか。
勿論、骨折しないのが一番よいということは言うを俟たぬが。
さてかような骨折騒ぎから一週間経った頃。
「ほほう、傷治ってますね」
「…そうですか。余り治っているようには見えないのですが…」
「いや、これならもう大丈夫。よかったねえ、黴菌入らないで。
ほら、南方行った昔の兵隊さん、骨が折れたところに菌が入って骨髄炎になって復員してからも本当に治らなくて大変だった人が多いんだよ」
「…ああ。聞いたことあります」
(看護婦さん登場)
「先生ー?傷口、消毒しておきますかー?」
「ああ、もういいよ。これなら大丈夫」
いや。
そんな恐ろしい前ふりしたんだったら、そこは念のために消毒してよ。
と言いたかったが気が小さい私は言えなんだ。
ああ言えなんだ。
という訳で只今骨折歴一週間と半分である。
二週間後の川床、浴衣着ていこうと思ってたけどどうやらその時までに添え木は取れそうにはない。しくしく。
まあせいぜいせっせとカルシウムでも摂って回復に努めようと思う次第である。
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