思えば、あの日予約をした時からなんだかヘンだなあとは思っていたのだ。
週末は土曜日、急遽母と梅田におでかけすることに相成った。
決定したのは水曜日。
さて、どこでランチるべなと思案し、真っ先に思いついたのがリーズナブルに美味しい和食を供してくれる秋やまさんだったのだが、あすこは超人気店故いつも最低2週間前には予約を入れねばならない。
うーむ、どうしよう。
でもまあ、だめもとで電話かけてみるか。
とおっかなびっくりかけてみたのだが、あっさり「いいですよー」と予約がとれたのでびっくり仰天したのであった。
あらラッキー。
偶然二人客のキャンセルでもあったのかしら。
等と思っていた。
思っていたのだが。
当日、大阪は風雨強く嵐のような荒天であった。
びしょびしょになりながら母と二人、行き慣れた新地の雑居ビルに到着し、お店に入るとあらびっくり、まだ誰もいない。
11時半ってそんなに早い時間じゃないよなあ?
と訝しく思いつつカウンター席につこうとすると、「此処にどうぞ」と奥のお座敷に案内して下さった。
わあすごい。
前々からあそこいいなあ、と憧れていた(けれど当方いつも二人連れなので入れなかった)お座敷だ。
なんだか今日は嬉しいな。

まずは八寸。
小さな揚げ物は桜えびのかきあげにバタジャガボール。
おしどりの中にはフキの白和えに菜の花のおひたしだ。
桜餅みたいなのは桜鯛のきずし。
どれもこれもちょこちょこ美味しい。

炊き合わせは季節らしく筍とフキ。
お出汁のありがたさがしみじみと感じられる。

これはサービスです、ということで出して頂いた生しらす。
初めて食べたが酒の肴にぴったりの味わいである。

お造りは鰹にシマアジ、そして桜鯛。
特にシマアジが好みであった。
昼間から酒が進んで仕方がない。

しんじょのあんかけ。
再び出汁のありがたさをしみじみ感じる一品だ。
しんじょ自体の味付けも申し分ない。
ああ幸せ幸せ。
…あれ、ここで揚げ物が出たのに写真を撮り忘れている。
ふきのとうやなんやかんやと(失念してしまった。失礼)春を存分に感じさせてくれる取り合わせであった。

いつも小ぶりのお釜で炊いて頂けるご飯。
今日は鯛ごはんであった。やったあ。
だが、小ぶりとはいえ二人分には大きなお釜なので、勿体ないなあと思いつつも大抵残してしまう。
この日も例に違わず残してしまったのだが、そのご飯をなんと今回は折に詰めて下さったのである。
それって普通じゃんと思われる向きもおありかもしれないが、このお店ではいつも残ったご飯はひっこめられていたのである(悪い意味で書いてるんじゃないよ)。
思わぬサービスにちょっとびっくりし、ちょっと嬉しくなった次第であった。

デザートのプレート。
ミニシューやらミニロールケーキやらのプチガトーがあるのが斬新である。
これまたいつものコースのデザートよりも随分と豪華であった。
以上、驚愕の3300円ランチコースであった。
途中、何度も母とワンランク上の5500円コースと間違えたかねえ?とひそひそ囁きあっていたのだが、お会計は間違いなく3300円のそれであった。
北新地でこの内容でこのお値段のランチは素晴らしくお得なのではなかろうか。
なのだが。
結局、私達が食べ終わって席を立って帰るまで、結局お客は一組も来ることはなかった。
余りの閑古鳥の鳴きっぷりに、母は板前さんに
「…お客さん、少ないですねえ?」
と水を向けた。
「ええ、そうなんですよ」
「やはり震災の影響?」
「そうですね、多分それもありますね」
「他は?」
「ひょっとしたら、GW前ということもあるかもしれません」
なるほど。
(最後のGW前、というのには余り説得力を感じなかったが)
にしても人っ子一人いないというのは、何やらお客としても気が滅入るものだ。
板前さんも5~6人はいらしたのに、皆さんが私達2人だけのために働いてくださってると思うとありがたいというよりはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになったことであった。
しかも安い方のランチコース頼んでるし。
絶対赤字だよねえ、なんだか悪いことしちゃったみたいだよねえと呟きつつ我々母娘は店を後にしたのであった。
…ううむ、来月も行こうかしら。
(却って迷惑か?)
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