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信州旅行記(1日目‐4 秋の味覚はあらまほしき)

さて、わさび農園の次に向かったのは長峰山という山である。
この山の頂上に辿りつく為には対向車の陰に怯えつつ狭隘なワインディングロードを延々と行かねばならないのだが、その甲斐は十分にある。
だって、こんな景色が待ち受けているのだから。

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この日は生憎の曇り空で胸がすかーっと晴れるような眺めとはいかなかったが、それでも北アルプスと安曇野の村落のコントラストは十分に楽しめた。

さて。
この頂上に向かうまでのワインディングロードの途中、路駐している車を何台か見かけた。

「ったく、ただでも道路幅狭いのにこういうの困るわあ。運転しにくいっちゅうねん。
こんな山奥で車停めて、一体何してんだろ」

「…わかった。何してるか」

「へ?」

「松茸や」

「え?」

「この山、さっきから見てたらアカマツ多いのよ。間違いないわ」

「成る程ねえ」

「やーん、なんかめっちゃ松茸食べたくなってきた。
私達もこっそり山入って採ってみようか」

「やめてください。捕まります」

そんな会話を交わしていると、だしぬけに路肩からひょっこりとおじいさんが現れた。
手にはななんと、巨大な松茸を三本も握ってらっしゃるではないか。

「ちょっとあんた見たー!?今の。すっごく大きかったわよ」

「うんうん、見た見た。すごかったねえ」

「やっぱり私達も採りにいってみない?」

「だから、それはご法度ですってば」

「それじゃあ、さっきのおじいさんちょっと拉致しちゃっt」

「余計にご法度ですからやめてください」

この後母は頭がすっかり松茸モードになってしまい、宿に到着するまでずっと憑かれたかのように延々と助手席で松茸松茸松茸松茸と唱え続け、私はほとほと閉口したのであった。

「ねえ、今日のお宿のごはんに松茸、出るの?」

「さあ。一応1ランク上のコースにはしたけどね」

「もしもでなかったらどうするのよう」

「…別にどうもしませんが」

「なんとか松茸出して貰うようにお願いしてよう。松茸松茸松茸松茸」

「ええいうるさい」

そんな松茸の香り漂う(そんなよいものではないが)会話を交わしているうちに本日のお宿に到着したのであった。

つづくってばつづくよ

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