信州旅行記(1日目-5 お宿にご飯)
さて、母を引き連れ到着したのは本日のお宿「ほりで~ゆ」。
公共の宿ではあるが、施設も新しく巷の評判も宜しいお宿だ。
今回はこの宿に二室しかないという露天風呂つき客室を予約しているのである。
フロントデスクにてチェックインしていると、おおなんとデスクの傍らに
「一日10組様限定 松茸メニュー」
なるチラシが置いてあるではないか。
頭の中が松茸でいっぱいの母上に上奏したところ即刻注文しておくよう命を受けたので、取り急ぎ土瓶蒸とシンプルな焼きものを追加注文しておいた。
こりゃ今晩が楽しみだわとほくそ笑みつつ、ボーイさん(内田百閒流に言うとボイ)に先導され部屋へと向かう。
噂の露天風呂つき客室は、さほど広くもなくめぼしい調度がある訳でもなかったが真新しくどこもぴかぴかしており、なかなか気持ちの良い和室であった。
肝心のお風呂も新しく、おまけに湯船からなんと名峰・常念岳を眺めることができるのである。
うっすらとカメラを構える私と母が映りこんでますな
という訳で、早速このお風呂に母と二人代わる代わる入ってぷっはーと一息ついた。
当然気持ち良いことこの上ない。
そして、湯上りには当然麦酒である。
途中のコンビニで仕入れたプレミアムモルツ(旅先では贅沢するのである)で再びぷっはーと一息、いや二息三息つく。
いやあ極楽極楽。
さてさて、そうこういしているうちにお待ちかねのご飯の時間と相成った。
食事処へ案内してくれた仲居さん曰く、今回私達が申し込んでおいたコース(ちょっといい奴)には既に土瓶蒸がついていたので申込はキャンセルさせて頂きましたとのことである。
へえ、デフォで土瓶蒸がついているのか。
それは他のメニューにも期待が持てそうである。
以下コースのご紹介である。
メニュー名はおしながき(小さいのがついていた)に従った。
前菜
(栗と湿地白和え、海老の艶煮、子持ち鮎有馬煮、蓮根せんべい、干柿独竜揚げ)
…うん。まあまあ。
先付
(茄子豆腐)
…うーん。
刺身
(信州サーモン、信濃雪鱒)
これらはなかなか美味しかった。
信州サーモンという名はこの後もよく見かけた。
只今大々的に売出中であるらしい。
土瓶蒸し(開けた写真を撮らんかいなと)
(鱧、松茸、銀杏、海老)
…あれ。
この土瓶蒸、銀杏入ってなかったけど。
とまれこれもなかなか美味しかった。
お出汁の加減は好みではなかったが。
松茸は流石に香り高いものであった。
揚げ物
(鱸のおかき揚げ、紅玉、ししとう)
これがねえ、もうねえ、がっかりだった。
だって冷えてたんですもの。
揚げ物がですよ。揚げ物が。
私がお食事に求める最低ラインは
「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに」
なのだけど、これが守られているケースは案外少ない。
しかし今回の冷えっぷりはそんな言葉を持ち出すまでもなく、近年稀に見る酷さであった。
おかき揚げなんて、おかきがしけて歯にくっついて大変だったし。
紅玉共々、素材もアイデアも悪くないだけにショックな一品であった。
余りのことに母が仲居さんに
「揚げ物が冷えてたのはがっかりでしたねえ」
とやんわり嫌味をいったところ、いやあの板前さんがあーのこーのと頻りに言い訳をしていたが、できたてのものを運ばないというのはやはりサーブのミスだと思う。
焼き物
(牛肉、エリンギ、はくれい茸、しめじ、焼葱、三つ葉)
あら、余りのショックに写真を撮っていなかったようだ。
これもまた冷えていた。
これまた肉も悪くないし、茸も美味しかっただけになんだかなあと思ったことであった。
松茸炭火焼
追加注文した一品である。
これは、旨かった。香りが最高。
今までのことは水に流してもよいかなあと思える程であった。
ま、ここでつらつら書き連ねてるということは水に流してなかったということなんですけどね。
お凌ぎ
(信州そば)
母がクレームをつけてから、仲居さんは急に気を遣いだした。
「次お蕎麦なんですけど、今召しあがっているのが済みましたら持って参りましょうか?」
ほほう、今度は茹でたてを持ってきてくれるのかしらん。
と思いきやこのお蕎麦、茹でてたっぷり2時間は冷蔵庫で冷えていました的お味とテクスチュアのシロモノであった。
昼間食べた本物の信州そばとは雲泥の差である。
ま、大勢の人に食事を供する温泉宿で茹でたて蕎麦持ってこい!という程私も傲慢な人間ではない。
でも、わざわざ聞いてくださっててこれかいな、と思った次第。
それだけ。
煮物
(海老芋 蟹 湯葉 春菊)
これは、あつあつだった。えらい。
いかにもレンジでチン的あつあつではあったが、いいんです。それでも。
さっきの揚げ物もチンして貰えばよかったと後悔したことであった。
蒸し物
(茸茶碗蒸し)
あら、これも写真がないや。
それもそのはず、この茶碗蒸しもなかなか驚愕の一品だったんですのよ奥様。
「板さんは調味料を入れ忘れたか、上にあんかなにかをかけ忘れたのであろう」
というのが母と私の共同見解であった。
止椀
(きのこ汁)
食事
(安曇野黒豆御飯)
みそ汁もご飯は普通に美味しかった。
(美味しかった時のコメントは淡白というのはなかなか性格の悪い話である)
この後デザートに芋羊羹と柿が出たが、お腹がくちくてとてもじゃないが食べられなかった。
簡単につめてもらって部屋に持ち帰ったけれども結局食べたのは母だけ。
やー、苦しかった。
とまあこれにてコースは終了。
冷え冷え(というのは大袈裟だが)事件は若干、いやかなり残念だったが(しつこいですねえ)他はまあこんなもんじゃないの的レヴェルの食事であった。
(その割に文句が多いのは御愛嬌)
なんといってもここは公共の宿である。
露天風呂つき客室、そして一応ちゃんとしたご飯がこの値段で(詳細は伏せますが)楽しめたのであれば言うことはない。
そんなこんなで、はちきれそうなお腹を抱えくるしーくるしーと呻きつつ一日目は終了したのであった。
つづくねん
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